【ココミル Vol.5】離断性骨軟骨炎(OCD)

ココミル

ココミル 第5弾は離断性骨軟骨炎りだんせいこつなんこつえん(OCD)です。あまり聞きなれない怪我の名前かもしれませんが、体重をかけてはいけないレベルの安静が必要となったり、手術の可能性も出てくる厄介な怪我です。肘・膝・足首の関節に発症することが多く、痛みを我慢し続け放置することで発症してしまうので、今回の記事で早期治療や日々の体のケアの意識を高めていただけると幸いです!

離断性骨軟骨炎とは

離断性骨軟骨炎りだんせいこつなんこつえん(以下、OCD)とは、繰り返される骨へのストレスによって軟骨が痛み、さらにストレスが繰り返されることで軟骨のさらに下の骨まで症状が広がり痛みが発症する怪我です。進行具合によっては痛んだ骨が剥がれ、関節の動きを邪魔してしまう厄介な怪我です。

高い場所から着地をする、ボールを投げる、急に止まる。スポーツの動作は日常生活とは比べものにならないほど関節に負担をかけます。その負担はやがて痛みを発生させるわけですが、時には痛みを我慢してでも競技を続けなければいけない場面もあるかと思います。そんな時、骨はどんな反応をしてしまうのでしょうか。

例えば、着地を例に考えてみましょう。体重がのしかかり地面からも反発力が加わるため、骨同士が衝突するストレスが加わります。

もちろん、関節にはぶつかりあいの衝撃を緩和するためのクッション(半月板など)がありますが、ストレスを受け続けると骨に症状が出始めてしまいます。OCDへの発展は以下のように進んでいきます。

【ステージ1】

ストレスを受けた骨は炎症を起こし回復しようとしますが、強いストレスを受け続けることで回復が追いつくことができず骨が痛んでいきます。ですが、このステージでは私たちが「痛み」として感じるレベルではないことが多いです。

【ステージ2】

痛んだ部位は骨本来の硬さを取り戻せず軟化し、やがて亀裂が生じます。このレベルから痛みを感じたり、関節に水が溜まったりと、気づくきっかけになることが多いです。

【ステージ3】

亀裂は進行し、やがて弱くなっていた部位全体に行き渡ります。全体に亀裂は入っているものの、まだはがれ落ちていないレベルです。

【ステージ4】

骨が剥がれ落ちると離断性骨軟骨炎の最後のレベルです。関節内に落ちてしまった骨が関節の動きを邪魔してしまい、うまく曲がらない・伸びないといった症状も出現します。

まとめるとこのような図になり、ステージ1からステージ4までの段階分けがされます。基本的にOCDが認められると、そこに負担のかかる動きはしないようにと言われ、膝や足首に発症してしまうと松葉杖や装具を使って体重をかけないように指示されることが多いです。

下肢の筋力はどんどん低下してしまいますので、体重をかけずにできる地味な筋トレをいかに頑張れるかが早期スポーツ復帰に大切になってきます。

OCDのココミル

OCDは体のどこに発生したかでガラッとチェックポイントが変わってきます。今回は上肢じょうし下肢かしに分けてココミルをお話していきますね。

上肢編

上肢のOCD発生ポイントとして多いのは肩・肘です。特に「野球肘」と言われる、バッティングやボールを投げた際に肘が痛む野球キッズは要注意。最初は「筋肉の疲労からくるものだね」というレベルから、ケアをサボってしまうと「骨が痛んできているよ」と言われ、どんどん進行してしまいます。

肩・肘の柔軟性

様々な方向に動かすことのできる肩関節に柔軟性不足があると投球フォームが崩れ、肘にストレスを受けやすい投げ方になります。

また、肘はしっかり曲がるか・しっかり伸びるかをチェック。指の筋肉の大部分は肘から始まっているので、実は肘が伸びきりませんという選手は少なくないですが、放置してしまうとOCDのリスク大です。

体幹・股関節の柔軟性

体幹のひねる・反る動作や股関節の柔軟性も上肢に影響を与えます。肘がしっかり上がらないなど、肩・肘に負担のかかる投球フォームになります。

また、その柔軟性を十分に動かせるかという筋力チェックも当然ながら確認します。

下肢編

下肢で発生するOCDは膝・足首に見つかることが多いです。普段の体重に加えて、着地の衝撃や着地する足の向きなどで負担が一箇所に集中しやすいために発生するのですが、どんな状態で負担が多いかチェックしていきましょう!

重心の位置

体重をかけて良い状態でしたら、片足立ち・スクワット・踏み込み・歩き方などで足にかかる体重がどこを通っているか、いわゆる重心をチェックします。足首の捻挫歴がある・扁平足などの方は重心がいずれかに偏っていることが多いです。また、体幹や股関節の筋力が弱くても、まっすぐな力を足に伝えることが難しくなります。

足首の安定性

先ほどもお伝えしましたが、足首の捻挫歴があったり扁平足だったりすると体重を支える土台が傾いてしまい、結果的に足にかかる重心の位置がずれていきます。

足首を小指側にひねってしまうと、体重は小指にかかりやすくなり結果的にO脚傾向が強くなります。

また、扁平足は親指側に体重が偏ってしまいがちなため、X脚傾向が強い印象です。

体幹・股関節の筋力

足の形が原因で重心の位置が偏るパターンもあれば、体幹・股関節周囲の筋力不足が原因で負担がかかりやすい動作になっているパターンもあります。

片脚立ちや踏み込み動作はスポーツ動作の基礎的な姿勢です。トレーニングの段階でぐらついてしまうと、よりレベルの高いスポーツ動作では負担が強すぎるということになります。

具体的にどの筋肉が原因で動作が崩れてしまっているのかは人それぞれですので、リハビリの先生など専門家に相談してみてくださいね。

最後に

今回は離断性骨軟骨炎りだんせいこつなんこつえん(COD)について記事にしてみました。OCDは基本的に大きな衝撃一発で起こる怪我ではなく、普段のケアやトレーニング不足で負担が積み重なった結果生じることが多い怪我です。そして、治すためには数ヶ月〜半年の松葉杖生活や装具、レベルによっては手術をしなければいけない厄介な怪我です。近年では、少年野球をしている選手に対して、超音波を使用したメディカルチェックを行い早期発見をしようという流れもあります。

OCDを防ぐには特別なことや道具は必要なく、ストレッチやトレーニングをしっかりと行い体のメンテナンスを行うことが大切です。身近な専門家の意見を聞いて、必要なストレッチ・筋力強化に取り組んでみてくださいね。

今回は以上です!

タイトルとURLをコピーしました