【ココミルVol.6】椎間板ヘルニア

ココミル

ココミル第6弾は『椎間板ついかんばんヘルニア』です!

“成長期に多い”という疾患ではないですが、椎間板ヘルニアに関する知識は成長期のうちから知っていて損はありません。というのも、ヘルニアは日常の姿勢にとても影響を受けやすい疾患だからです。学生さんは学校生活の大半の時間を硬い椅子の上で座って過ごしています。そのため、腰痛や首痛が一度発生すると、とても負担のかかる姿勢を長時間行わなければならない環境にいます。

今回は椎間板ヘルニアという疾患のココミルに合わせて、気をつけたい環境設定もご紹介しますので是非最後までご覧になってください。

椎間板ヘルニアとは

椎間板とヘルニア

私たちの背骨は1つ1つのブロックが重なり合って、お尻から首まで繋がっています。そしてそのブロックのことを椎体ついたいと言い、ブロックの間にあるのが今回の主役である椎間板ついかんばんです。

椎間板は柔軟性があり、背骨に負担が加わってもその衝撃を吸収してくれたり、椎体同士がぶつかり合わないようにクッションの役割を果たします。また、上下の椎体がずれないように支える役割も持ちます。

椎間板は“あんこ入りのお饅頭まんじゅう”のようなものです。椎間板にストレスが加わり続けることでお饅頭の皮が破け、中のあんこが飛び出してしまった状態、これがヘルニアです。

通常、ヘルニアは背中側に飛び出してしまうことが多いのですが、飛び出した先には神経がたくさん走っています。その神経を圧迫してしまうと「痺れ」などの症状が出現します。

ヘルニアが腰で起こると「腰椎椎間板ようついついかんばんヘルニア」、首で起こると「頸椎椎間板けいついついかんばんヘルニア」と名前が多少変わるものの、起きていることは同じです。

猫背でストレスUP

ヘルニアは体を丸める動きで発生しやすい疾患です。スポーツで言えばジャンプの着地やサッカーのキック後の動作、低いボールを拾う動作など、かがむ動作で発生します。また、ラグビーのように勢いよくぶつかり合うスポーツにもよくみられます。

私たちの背骨はS字状にカーブを描いています。このカーブがあることで、背骨にかかる負担を分散してくれます。ですが、猫背になるとこのカーブが失われてしまいます。その結果、椎体や椎間板への負担が大きくなり、椎間板を押しつぶす力も増します。

また、背骨の前側には強い靭帯が走っているため普段の姿勢で前方向へのヘルニアになることはほとんどありません。それに対し、背骨の後ろ側には前側と比べると弱い部分があり、ヘルニアになりやすい部位があります。

椎間板ヘルニアのココミル

背骨の動き

背骨は股関節・骨盤と連動しながら様々な方向に動いてくれます。これらの動きをチェックし、動いていない部分はないか、逆に動きすぎている部分はあるかなどをチェックします。細かいチェックポイントはセラピストそれぞれかもしれませんが、基本は綺麗にCの字のようなカーブが描けているか、十分に可動域があるかなど。動きに伴って痛みや痺れがあるかも確認します。

柔軟性・筋力

上記の動作確認でざっくりと動きを把握したら、さらに細かい関節の可動域をチェックします。

中心となるのは肩・脊柱・股関節。それぞれの柔軟性と動きとの関係を考察していきます。

また、その柔軟性がしっかりと使われているか筋力を測ります。腰の疾患は腹筋が足りないと思われがちですが、上半身・下半身の筋力が不足している結果、腰に負担のかかる動きになっていることもあります。

呼吸

腰の疾患とどう関係があるかイメージがつきにくいかもしれませんが、呼吸は体幹トレーニングの基本になります。

体幹を支えるためには“腹圧”という力が必要になります。これは、腹筋だけではなく呼吸に関係する横隔膜なども関係します。

イメージとしては、お腹の中に風船があると思ってください。風船は全方向から均等に押せばつぶれませんが、どこか一方向でも力が抜けてしまうと、つぶれてしまいますよね。

・風船が潰れない=腹圧が強い=体幹が安定する
・風船が潰れる=腹圧が弱い=体幹が弱い
というわけです。

呼吸のトレーニングでは、正しく腹圧をかけていられるかを確認します。具体的には、お腹だけが膨らむ・胸だけが膨らむのではなくどちらも均一に膨らんでいるかどうか、それに伴う肋骨の動きは正しいかなどですが、専門的すぎる話になってくるので、「呼吸もトレーニングに大切なんだな」という認識を持っていただければOKです。

神経症状

冒頭で、ヘルニアの症状として痺れがあるとお話しました。「肩や背中の痛みで病院に行ったら首のヘルニアと言われた」「お尻や太ももの外側が痛くて受診したら腰のヘルニアと言われた」という方は、肩なのに首?太ももなのに腰?と思われるかもしれませんが、ヘルニアによる神経症状の可能性があります。

実は、ヘルニアはどこの部位で発生しているかによって、体のどの部位に神経症状が出現するかが決まっています。そのため、どこに痺れや痛みが出るかは、大事なチェックポイントになってきます。

また、その神経症状を意図的に誘発して、それが本当にヘルニアからくる症状なのか、はたまた違う原因からくる症状なのかを僕らはチェックしています。

病院にかかる際には、いつが一番痛い・こういう動作でよく症状が出る・どの部位が痛いということを話せると、原因を追求できやすいためぜひ把握しておきたいポイントですね。

環境設定

さて、ヘルニアについての症状やチェックポイントをお話してきましたが、悪い姿勢がヘルニアにとって良くないということを少し理解していただけたかと思います。最後に、座る姿勢などの日常生活で注意したい点についてまとめてみました。

椅子の高さ

学校では基本、座る時間が多いですよね。ですが、その座る姿勢がそもそも腰に負担をかけてしまっているケースがあります。

基本的に、椅子の高さ(座面)が低いと腰に負担がかかりやすくなります。これは、人の股関節の構造の問題で、股関節よりも膝の高さが高い方が骨盤は後ろに傾きやすくなり、自然と猫背の姿勢になってしまいます。まずは、椅子が低すぎないかどうかを確認しましょう。

タオルで調節

座り方に関しては、タオルを使った調節方法がありますのでご紹介します。

タオルを敷く

まずは、タオルを座面に敷く方法。椅子にタオル(バスタオルを3つ折くらいで)を敷き、タオルの前半分くらいにお尻が乗るよう腰掛けます。そうすると傾斜ができ、タオルが骨盤を後ろから押し上げてくれる感覚がわかるかと思います。背もたれは使いません。

タオルで支える

椅子に深く座るのが好きな方は、タオルは敷くのではなく骨盤のすぐ後ろに丸めて置く方法がオススメです。タオルの厚さ次第では、背もたれに寄りかかると腰が反ってしまうため、痛めないように厚さ調節をしてみてくださいね。

最後に

ヘルニアは成長期だからよく起こる怪我ではありません。ですが、大人になると「日常生活で身近な怪我」になってきます。靭帯などもそうですが、一度怪我してしまうと、症状こそ無くなりますが元の状態には戻りません。つまり、また同じ症状が起こりやすいということです。そんな怪我だからこそ『少し姿勢に気をつけてみよう』とか『スポーツのフォームを気にしてみよう』など、些細な心がけが自分の体を守ることに繋がります。今回の記事を参考に、予防やトレーニングに興味を持ってもらえたら嬉しいです!

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