【起立性調節障害から学ぶ】スポーツをするための土台ってなに?

つくる力

何かと変化の多い成長期。朝全然起きれずにアラームが鳴り続けてる携帯を握りしめて寝続けていたり、気分が乗らず部活どころか学校にも行きたくないなんて日もあるかと思います。

しかし、普段何気なく送っているそんな生活の中に‘‘身体からのSOS’’が隠されているかもしれません。実は、身体や環境の変化が著しい成長期だからこそ、その変化に対応できず体調を崩す成長期の子供は少なくありません。

そこで、皆さんに知っておいて欲しい障害が今回取り上げている起立性調節障害きりつせいちょうせつしょうがいです。この障害をきっかけにして、生活習慣を正す大切さやスポーツへのメリットを学んで欲しいと思います。

『スポーツをするための土台作り』皆さんはできているでしょうか?一緒に考えていきましょう。

結論

  • スポーツの土台は<正しい生活習慣>
  • 生活が乱れると「起立性調節障害」など、成長期特有の障害を引き起こしやすい
  • 生活習慣の乱れは負のループを作り上げてしまい、スポーツにもマイナスになる
  • 心と体を自分でコントロールすることがスポーツの土台作りにとって大切
  • 大人になっても、成長期で作り上げた生活習慣が強く影響する

起立性調節障害と自律神経

起立性調節障害ってなに?

起立性調節障害は、自律神経じりつしんけいの異常が原因となって体の血流を上手く調節できなくなった結果、様々な体調不良を起こす障害です。

皆さんの全身をめぐる血液。それを送り出してくれる心臓や道路である血管。それらを上手く交通整備してくれているのが自律神経です。この自律神経が上手く働かない状態では、全身の血流が悪くなり脳の働きを低下させます。

例えば、朝。目が覚めて布団で横になっている状態から起き上がる場面を考えてみましょう。

寝ている状態は、全身に血液が行き渡りやすい状態です。

起き上がることで血液は足に集中しやすくなります。重力によって血液がどんどん下がっていくためです。ですが、自律神経がしっかり働いていると血液が足に集中してしまうのを防いでくれます。

一方で、自律神経が働いていないと頭(脳)への血流が足りなくなり、上手く頭が働かない、ぼーっとした状態になってしまいます

こういった、起き上がった際に血流が上手く全身に行き届かずに、様々な症状を起こしてしまうことを起立性調節障害と言います。

☑︎立位では重力により下半身に血流が溜まりやすい

☑︎通常体は、自律神経の働きによって常に全身に血流が行き届くように調節されている


☑︎自律神経が機能しないと立位時に脳への血流が
不足し、様々な症状が出る

起立性調節障害の症状

【主な症状】

・朝起きることができない   ・めまいを起こしやすい
・失神  ・動悸や息切れがする  ・頭痛や腹痛

脳が上手く働かなくなることで起こる症状は様々です。上記にあげた症状も一部にすぎません。スポーツをする上でも「力が入りにくい」「反応が鈍くなる」「集中できない」など様々な影響が考えられます。

また、スポーツ以前に日常生活まで支障が出てしまうことも多く『朝起きようとしても頭が働かず思うように動けない→学校に行けない』といった影響が出て、困ってしまう学生も少なくありません。頭痛やめまいなどの体に起こる症状の他にも、このように生活面にまで問題が出てくるというのも症状の1つであると考えることができます。

STOP!負のループ

小学生の20人に1人、中学生の10人に1人に存在する身近なこの障害。実は、近年になって流行を見せています。その背景には【生活リズムの変化】が関係しています。

その1番の影響はスマホの普及です。小中学生からスマホを持つ機会が増えたことにより、寝転がる機会が多くなったこと昼夜逆転生活が増えるなど、成長期の生活リズムに大きな影響を与えています。

また、SNSを通じて世界中の誰とでも繋がることが簡単になった一方で、精神的なストレスを受ける機会も増加しました。

厄介なのは、生活リズムの崩れた生活を続けていくと悪いことが永遠に繰り返されていくいく(負のスパイラルが形成されていく)ということです。

例えば寝不足でやる気が出ず、休日で予定の無い日はつい長く寝てしまうケース。自律神経は働きやすい時間帯・休む時間帯がすでに決まっていて、そのリズムが乱されると働きが弱くなってしまいます。さらに、活動量が低下し筋力が落ちてくることも問題になります。きます。筋肉は全身に血液を送ってくれるポンプのような役割をしていますので、筋力低下は全身への血流を減少させてしまいます。当然それは脳も影響を受け、活動量がまた低下して…という、悪いことが巡ってしまいます。

負のループを断ち切るために、生活リズムの改善が必須になります

スポーツへの影響

さて、ここで1つ考えてみていただきたいのですが、先ほど述べた悪いことのループは起立性調節障害の人にだけ起こることでしょうか?

もちろん答えはNoで、生活リズムが崩れると誰でも体にとって悪いループはまわり始めます。影響が強いか弱いかの問題です。

そして、皆さんがやっているスポーツは体にとってはかなりレベルの高いことです。

細かなコントロール

爆発的な力

圧倒的な集中力

この他にも色々な能力がスポーツでは必要で、どれが欠けても成績は落ちてしまったり、怪我をしてしまう可能性が出てきます。そんな中で、生活リズムを崩してしまうのは自分の能力を落としてしまうことにつながります。それは、とてももったいないことです。

では、どうしたら生活のリズムをコントロールしスポーツでも実力を発揮しやすくできるでしょうか。

スポーツをするための土台

起立性調節障害にかかわらず、風邪をひいた・怪我をしたなどでも心身の負のスパイラルは回り始めます。それを出来るだけ防ぐため、あるいはすぐに抜け出すためには、以前できていた当たり前を大切にしていくしかありません。つまり…

・遅刻せずに学校へ行く
・3食バランス良く食べるなど、食生活を安定させる
・運動習慣を作る
・寝る時間を意識

こういったことが、しっかりできているでしょうか?少し具体的に対策を見ていきましょう!

体のコントロール

手っ取り早く正しい生活習慣を手に入れるのにおすすめな行動は歩いて学校へ行くことです。多分、ほとんどの人が自然に行えているかもしれませんが、生活習慣が乱れている人には実は難しい習慣です。もちろん、朝食はしっかり食べることを忘れずに。

遅刻しないように、早起きしなければいけないですし、ご飯を食べる時間も計算しなければいけません。そして何より、朝歩くことで運動習慣が確保できるというメリットが大きいです。10分程度のウォーキングでも体はしっかり使われ、全身に血液を巡らせてくれます。

心のコントロール

学校やクラブ活動などの集団にいると、どうしても人間関係で悩んだりすることもあるかと思います。そんな時には心のコントロール、つまりストレスとどう向き合うかが大切になってきます。大切になってくるのは次の2点です

☑︎自分の‘‘お気に入り’’を知っているか
気分の乗る音楽、落ち着く香り、好きな場所。皆さんはどんな‘‘お気に入り’’を持っているでしょうか。それが多ければ多いほど、自分にストレスがかかった時の逃げ道になってくれます。自分のことを少しずつ知っていき、心のコントロールをする練習をしていきましょう。

☑︎人間関係を築いているか
嫌な気持ちや悩みは、人に聞いてもらって自分の外へ声として出すのが効果的です。そんな時に、話を聞いてくれる友達や親子関係を作れているでしょうか。人間関係を築くために特別なことは必要ではなく、朝会ったら挨拶をするとか、約束を守るなどの積み重ねによって少しずつ関係は作られていきます。普段から、周囲の人を大切に生活していきたいですね。

終わりに

今回は起立性調節障害を切り口として、正しい生活習慣の大切さを学んでいただきました。一言に「正しい生活習慣」と言っても、それぞれの性格・生活環境などで変わりうるもので一概に言えない難しさはあります。ですが、子どもの頃に培った生活習慣は、スポーツをするための体づくりに大きく関係してきますし、将来的に自立した大人になるための基礎になると思っています。何か1つでも、皆さんのスポーツライフにプラスになれたら嬉しいです!

それでは、今回は以上です。したっけねー!

<参考>
・起立性調節障害対応ガイドライン.岡山県教育委員会(2019)
・起立性調節障害~明日から使えるテクニック~.石崎優子(2020)

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