【保育士さん向け】腰痛予防教室でお話させていただきました

トレーナー活動

こんにちは、ヨシキです。

先日、札幌市内の認定こども園にて「保育士向けに腰痛予防のストレッチを指導してほしい」とお声がけいただきました。今回はその内容を少しご紹介したいと思います。

保育士はチリツモの怪我が多い

整形外来で働いていた際も、保育士さんや幼稚園教諭の方が頻繁に来院されていました。パッと思いつく疾患は上記の通り、特に首〜腰部にかけての症状を訴える方が多い印象です。

ポイントは、小さな負担が積み重なって症状が現れる“チリツモ”な怪我が多いことです。
・足首をひねった
・車とぶつかった
など、明らかなきっかけがあって起こる怪我ではなく、なんか最近膝が痛い・理由はわからないけど腰が急に痛み出したなど、きっかけが曖昧な怪我が多いのです。

また、もともと関節が緩く膝のお皿が動きやすいため痛みが出てしまう症状や、学生時代に部活で患った怪我が原因で腰が痛みやすいという方もいらっしゃいました。

では、どんな動作が体に負担をかけているのでしょうか?

保育士さんの業務上の動きとして特筆すべきは
・中腰姿勢が多いこと
・正座が多いこと

の2点が挙げられます
子供の目線に合わせて声がけをされていたり、一緒に作業する時は園児が使っている小さな机であったり、基本的に体をかがめる・低くする姿勢が強制されてしまいます。そのため、腰・膝へは負担が常にかかっていることが多いです。
また、正座は膝のお皿や中にあるクッション(半月板)にストレスをかけ、軟骨や半月板損傷といった怪我の種になります。

それに加え、時には子供を抱っこして床から立ち座りをしなければいけなかったり、書類の記録などデスクワークも多いのもチリツモな怪我の原因になります。

自分の時間を作れない

園児の登園から降園までずっと保育を続け、その後にデスクワーク。そして持ち帰りの仕事も多いと保育士の友人からも聞きますが、どうしてもハードな業務の中で自分の体を省みる時間を作れないのが現状かと思います。

そのような中で

“ストレッチをしよう”  “筋トレをしよう”

とはなかなかなりませんよね。もちろん、それらが体のケアの土台になることは間違いないですが、まずは時間を作る努力よりも、日常生活や業務中に体を守る要素を取り入れるという意識が大切です。オススメを以下に解説していきます。

おすすめの体ケア3要素

日常生活・業務中に取り入れたい要素は3つです。順番に解説していきますね。

入浴

普段のお風呂時間をシャワーで済ませてしまっていたり、入浴をしても短時間で終わってしまっている方も多いのではないでしょうか?

入浴で狙いたいのは、体全体の血流改善です。腰痛は筋肉だけではなく、神経が硬い筋肉に圧迫されて痛みを出しているケースも少なくありません。圧迫されている神経は血流が乏しくなり、刺激に敏感な状態になります。そのため、少しの刺激でも過剰に反応し結果として痛みを発生させます。

また、入浴は全身の筋肉を緩めてくれる効果もあるため、柔軟性の改善や筋肉の凝りによる痛みを和らげてくれます。目標時間は10分間。のぼせやすいなど個人差があるかもしれませんが、ぬるめよりも40度付近の温度を狙えるとベストですね。

デスクワークの環境設定

デスクワークで猫背の時間が増えれば増えるほど、首や腰への負担は大きくなりヘルニアや筋肉の痛み・肩こりの原因となります。以下の3点を意識して環境設定を行なってみてください。

椅子の高さ調節

基本的に、椅子の座面が高い方が良い姿勢をとりやすいです。股関節よりも膝の方が高くなっているとNG。自然と猫背になりやすくなってしまいます。ただし、椅子を高くすると机の高さが足りなくなり、結果的に背中を丸めてしまいがちですので注意してくださいね。膝よりも股関節が少し高くなる程度を狙って調節してみましょう。

タオルで姿勢維持

集中するとどうしても背中は丸くなってしまうものです。そこで、タオルを使って骨盤から姿勢をコントロールしてしまいましょう。オススメは、座面にタオルを敷き、前の方にちょこんと座る①の方法。自然とタオルが骨盤を押し上げてくれ骨盤が後傾するのを防いでくれますよ。

また、深く座るのが好きなのであれば骨盤の後ろにタオルを丸めて置くと壁の代わりになります。物理的に骨盤が後ろに傾くのを止めてくれるストッパーになります。

市販でも骨盤を支持してくれる座面がありますが、まずは費用をかけずタオルで効果を検証し、自分に合うか合わないかを判断されると良いと思います。

アームレストの活用

アームレストを使うと、背中の筋肉だけではなく腕の筋肉も使って姿勢調節をすることができます。また、最近は机につけられる肘置きも販売されておりますので、机から肘が落ちることなく姿勢調節がしやすくなります。

サランラップの芯や麺棒をタオルで包むとアームレストの代わりになります。見た目が気になる方もいるかもしれませんが、実験的に使ってみるのもありですね。

体の使い方

体の使い方で腰への負担はかなり違ってきます。椅子から立ち上がる例を見てみましょう。

ポイントは骨盤をしっかりと立てること、股関節から動くことですが、骨盤・背中・後頭部に棒を当ててゆっくり立ち上がる動きができれば正解です。腰から棒が離れてしまうと背中が丸まっている証拠です。その状態で子供を抱き抱えたり、重い物を持ち上げてしまうと腰に負担がかかりヘルニアなどの原因となってしまいます。

動き方に関してはそもそも骨盤や股関節をどう使って良いかわからなかったり、正しくできているのか分かりにくいかと思います。理学療法士など専門職にアドバイスをもらえる環境であればたくさん聞いてみましょう。

紹介したストレッチ

今回は、腰痛予防を主としてアドバイスさせていただきました。

【ももうらのストレッチ】
仰向けになって足裏にタオルを引っ掛け、脚をゆっくり天井に向かって伸ばしていきます。

【お尻のストレッチ】
うつ伏せになって膝を折りたたみ、胸を膝を近づけます。折りたたんだ膝の角度でお尻の伸び具合が調節できます。

【もも前のストレッチ】
横むけに寝転がり、足首を持ってから膝を後ろに引っ張っていきます。腰が反らないように、下の脚を曲げて行うのがポイント。

【背骨を回すストレッチ】
横向きで膝を曲げた状態から、反対方向に体を捻っていきます。これ以上回らないというところで、深呼吸を行うと、肺が膨らみ肋骨が動いてくれて、さらにストレッチが効きます。

【胸周りのストレッチ】
デスクワークで猫背姿勢が多くなると、胸の前の筋肉が硬くなりさらに猫背を助長させてしまいます。壁に手〜肘を置き、ゆっくり体を開いていくとストレッチできますよ。

【ストレッチポール】
ストレッチポールを使うと、効率よく太もも周りをほぐすことができます。もも前やももの横をほぐしていきたいですね

最後に

今回、保育士さん向けの障害予防ということでお忙しい中お時間を作っていただきました。ストレッチをした方が良いのはわかっているけれどもなかなか時間を取ることが難しいというのが現状かと思いますが、入浴や環境設定など、できることから始めることがまず大切です。また、何か1つでもストレッチを取り入れていただけると、効果を実感できるのではないかと思います。

自分も普段子供達を保育していただいている立場ですが、子供の心をしっかり掴んでくれている先生がずっと元気に保育に携わってくれることは保護者としてもメリットしかありません。そのためにも、体のケアのお手伝いをできる限りしたいと思いますし、今回の記事から何か1つでも知識を持ち帰っていただけると幸いです。

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